なりすましや不正受給を防ぐ書類提出にどうしても反発したい人もいる
国家奨学金のためには "不幸な家庭史" も明らかにしなければならない
[ソウルミーナ]大学生A(女)さんは、今年の初め、韓国奨学財団に2019年1学期の奨学金と学生ローンを申請した。ところが「韓国奨学財団設立などに関する法律」50条2項には、学資援助を申請する人は、自分と配偶者やその親の情報提供と同意書を提出するよう義務付けている。
これにより、財団は去る1月21日、Aさんにテキストメッセージを送信して、この書類の追加提出を要請した。文字には、具体的に「遺伝子検査機関が発行した実の母親との親子確認書または家族関係を記載して公証機関の公証を受けた覚書を出しなさい」と書いてあった。
また、「本人と母親の人的事項、公的書類と実母の情報が異なる理由、事実でない場合、民事·刑事上の責任を負うという誓約も一緒に提出せよ」と付け加えた。
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実はAさんには他の人たちは簡単に理解できない "複雑な" 家庭史がある。 Aさんの家族関係登録簿に両親と記載された人物は、実の両親ではなく実は叔父夫婦だった。
その上、叔父と叔母とは、ずいぶん前から連絡が途絶え、同意を得ることができなかった。
また、Aさんの実の母親はまだ生きているが、実の父は既に世を去った。 彼女は学資金の支給を受けるために、このような不幸な家庭史まで次々に明らかにしなければならないのか疑問を抱いた。
結局、Aさんは財団から文字メッセージを受けた翌日の今年1月22日、憲法裁判所に憲法訴願を出した。 請求書で同氏は "不幸な家庭死による特別な事情があるにもかかわらず、成人の私を未成年者のように扱い、親の同意と遺伝子検査書および民事·刑事上の責任誓約公証覚書まで要求するのは羞恥心と侮辱感を与えること" とし "憲法違反の基本権を侵害された" と主張した。
あっさりと棄却、”不当公権力の行使ではない”
憲裁第1指定裁判部(ナムソク裁判長)は最近、Aさんの憲法訴願を却下したことが1日、明らかになった。却下とは憲法訴願の提起の要件を備えておらず、ただ審理の手続きを終える決定を意味する。
現行法上、財団が配偶者や親の同意を要求するのは、大学生世帯員の所得および財産を正確に調査するためだ。 これは、財産が多かったり、両親または配偶者の収入が豊かな学生が学資金支援を受ける "道徳的弛緩" が起きないようにするのが目的だ。
一言で言えば、経済状態が豊かでも不正に低金利(据え置き期間も長い)の学生ローンの貸し出しを受けようとする輩が多いことを意味する。
憲法裁は "Aさんの主張のように家族関係記録簿上の親が実際の親でないのなら同意書を提出する人が '実母' ということを公文書だけでは確認できないため、同意書とは別途にその確認のための資料提出が付随的に必要だ" とした。
続いて "韓国奨学財団は学資金支援の資格があるかどうかを確認するため申請人に必要な書類や資料の提出を要求できる" と判断した。
※家族関係記録簿:戸籍謄本に相当するが、本人の親までしか記載されない、その親の家族関係記録簿が存在しない場合には当人の主張だけが当人を証明する資料になる
裁判官たちは、財団の資料提出要求が覚書または遺伝子確認書のいずれかをAさんが選択できるようにした点に注目した。 そのため "実母であることを確認する方法が法令に定められているわけでもないため,二つの他に違う方法でも可能だ" とし "そうなれば財団の要求は他の方法は認められないという趣旨ではなく、二つの例を挙げたものと見るべきだ" と強調した。
結局、憲法裁は "財団がAさんに資料追加提出を要求した行為は '優越的' 地位で一方的に強制する権力的事実行為と見ることはできない" とし "憲法訴訟の対象になる公権力の行使に該当せずAさんの審判請求は不適法だ" と結論を下した。
(ソウル/みそっち)
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