基礎生活保障受給者のAさん(50)の証言
「昨年ですが、毎月振り込まれる基礎生活保障受給費が減ったんですよ、もう青天の霹靂で。ええ、わたしはずっと仕事をしていませんから、基礎生活保障受給費だけが頼りで。」
釜山東部警察署警部B氏の証言
「基礎受給費が減ったという申告を受けて、ちょっと調べてみたんです。そうしたらAさんが働いて給与を受け取っていることが分かったんです、ところがAさんはホントに働いていなくて」
住所不定のCさん(50)の供述
「この身分証は拾ったんです、これでお金を借りたりはしていません。最近、法律が変わって建設現場で働くには、安全教育履修が必要になりその書類に名前を借りただけなんです。」
釜山東部警察署は他人の身分証明書で、建設現場の労働に必要な教育を履修し関連書類を行使した疑い(占有離脱物横領など)でCさん(50)を拘束したと11日明らかにした。
C(50)さんは、昨年4月に釜山東区のある公衆電話ボックスで拾ったAさん(50)住民登録証で同月20日、建設業の基礎安全衛生教育を受けようとAさんの個人情報を記載した後、教育受講証などを職員事務所に提出した疑いを受けている。
警察の調査の結果、Cさんは、10年以上前に家出して、2015年8月27日に失踪宣告と住民登録記録が死亡抹消された状態だった。
警察によると、家族が行方不明申告をした後、5年の間に発見されたり連絡が届かない場合は、最終的に、このような処理が行われる。
Cさんは、家族との仲が良くなくて家出した後、一切連絡を絶ったまま日雇い労働をして暮らしてきたことが分かった。
しかし、最近になり法の改正で建設現場で働くには、安全教育履修が前提条件になりCさんは、偶然手に入れたAさんの身分証明書でAさんになりすました。
そんな中、基礎生活保障受給者だったAさんが自分に支給された基礎受給費が3ヶ月間の減少したことを怪しみ、昨年11月に警察に告訴状を出してCさんの行為が明らかになった。
Aさんは、職業がありませんでしたが、AさんのふりをしていたCさんが賃金を受けたせいで区ではAさんに収入が生じたものと判断して、Aさんが受ける基礎受給費が減るしかなかった。
警察関係者は「調査の過程では、Cさんは、死亡者に分類され指名手配さえ不可能な状態であった」とし「4ヶ月近く人材事務所と工事現場人夫などで聞き込みしてCさんを検挙した」と説明した。
警察はCさんの失踪宣告が取り消されなければ死亡者を起訴することはできないとして、復活申請が済み次第、所定の手続きをする予定だ。
(ソウル/みそっち)
というわけで、赤川次郎によるデビュー作「幽霊列車」風の書き出しにしてみました。
第15回オール讀物推理小説新人賞を受賞した三毛猫ホームズシリーズとかの作者さんだそうですね(シラン)
さて、住所不定無職というのはニホン式の言い方で、韓国では「はっきりした職業の無い」と言います。ハングルで書いてあると、そうか? と思うほどハングル然とした表記で、漢字で表すことのできない韓国語で出来ているようです。
これもね、拾った身分証の持ち主がフツーの生活者だったら基礎受給費なんて受け取っていませんから、手取りが減ることも無いんですが、あいにく基礎受給費で生活しているひとだったので、目に見えて減った受給費を怪しんで刑札に申告したんですね。