南北板門店で接触、遅く始めた理由は'平壌(ピョンヤン)時間'のため?
[開戦ミーナ]軍事的衝突の刃の上に立った南北が22日午後、板門店(パンムンジョム)で高位級接触を開始した。
統一部当局者は同日、"板門店(パンムンジョム)韓国側の平和の家で南北高官級接触が始まった"と明らかにした。
同日、会談には、韓国側では、金寛鎮(キム・グァンジン)国家安保室長とホンヨンピョ統一部長官が、北朝鮮側では、黄炳瑞(ファン・ビョンソ)軍総政治局長、金養建(キム・ヤンゴン)労働党秘書が、今回の高位級接触に出席した。
板門店(パンムンジョム)南北高官級接触は当初予定された午後6時より遅く始まったという。 北朝鮮が去る15日から韓国時間より30分遅れた‘‘、平壌(ピョンヤン)時'を標準時間で決め、南と北が30分の時差があるためとみられる。
これに先立ち、金奎顕(キム・ギュヒョン)国家安保室1次長は同日、大統領府定例会見で"今日の午後6時、板門店(パンムンジョム)平和の家'で韓国側の金寛鎮(キム・グァンジン)国家安保室長とホンヨンピョ統一部長官、北朝鮮側の黄炳瑞(ファン・ビョンソ)総政治局長と金養建(キム・ヤンゴン)党秘書官接触を行うことで今日午後、合意した"と明らかにした。
統一部当局者は"午後に行われている接触では現在進行されている南北関係の状況と関連した全てのことを議論する予定"と明らかにしている。
(翻訳:みそっち)
これまで韓国を「傀儡・南朝鮮」と呼んできた北朝鮮は異例で「大韓民国」と表現した。これは、高位当局者の接触の意味付与と一緒に南北間の緊張緩和のための意志を表わしたものとみられる
っとまぁ、誰もが待ち望んできた結果とは正反対っぽい結末になりそうなのですが、この騒ぎで動員された兵隊さんたちは大変ですよ、なにしろ午後五時の最後通牒な時間と午後六時すぎ会談開始の時間といえば兵隊さんたちが夕食を食べる時間ですね。
これが全員、”持ち場”でごはんですからとんでもないくらい大出費なのですよ。
最前線の警戒所では小隊規模で交代制の非武装地帯の警備が毎日繰り返されているわけです。これは人数が一応は2倍ありますから半数ごとにごはんの時間があるのです。
ところが今回のドタバタで砲兵監視レーダーと自走砲が前線に出てきたのです。
戦争映画なんかではキャタピラのついた自走砲が所定の位置に並んで準備完了ですが、実際には違います。
155mm自走砲といえば韓国では欠陥続きのK-9自走砲がありますが、国境地帯の山間部に配備されているのは旧型のK55ですね、これは米軍も使っていたM109自走砲のライセンス生産品のようなものです。▶
これの乗員は6人ですよ、応射したのが15両だかあったそうですから、それだけでも90人ですね、これが普段の駐屯地から出かけてきてあっちに大砲を向けたのが48時間前です、しかも自走砲15両だけじゃ誰も攻撃目標を指示してくれませんから、射撃対象を伝える連絡部隊や砲弾運搬車に指揮幕僚中隊がくっついてきて前線司令部テントを設置して有線電話を引いて、それも平地じゃダメですから半地下式になるように工事車両で最低でも1m以上掘るのだそうです。
※基本的に実戦と同じだから自走砲はエンジンをかけっぱなし、別途の電源車がない場合にはエンジンを止めると車内は真っ暗になります
▲”韓国型野外炊具”での実際の調理風景、燃料は薪木が使われる(少しガソリンもね)
その指揮中隊がおよそ100名以上の大所帯ですよ、これは敵地から直接見えない場所に設営するんですが、展開した前線部隊の横幅と同じ程度の距離になるところが前線司令部の設置場所に最適だと言われています。
そんなテントだって全員が納まるものをいくつも設営しなきゃならないんです。
これも、こっちの都合のイイところがうれしいのですよね、”非武装地帯”というところに面して敵の主力のいるところの正面が望ましいじゃないですか。ところがそうとばかりも言ってられない、それで不便なところに司令部を置く、すると給食なんかを届けるのが遅くなる、兵隊の士気が下がる。厭戦気分っていうことですね。
※非武装地帯には南北をつなぐ太古からの尾根道があったりするのでそのへんが今回の部隊の展開場所のようです、あんまり山の中に”拡声器”並べても意味ないからね
▲前線に逝くには食料はもちろん鍋釜から水まで持参しなければならない、さながら
”怪しい探検隊”を部隊規模でしかも準備期間をほとんど無しでやるのです。
なにしろ兵隊さんはご飯が一食抜きになるだけで前線を離脱するし、ほんの1時間ほど給食の時間が遅れただけでも「もぉやぁ~めた」って気分になっちゃうですから
ね。(今回、普通の歩兵は砲兵部隊の周辺警備重点配置のため連隊規模の人数が動員されている、基本的に1時間交代の立哨らしい)
忍者みたいに偽装しながら隠れていて兵糧丸だけで見張りを続けられる兵隊なんていうのはレンジャー部隊のごく一部だけですから、とにかく給食が最優先なのです
よ。
自走砲も砲弾なら最低数は積んでいるじゃないですか、ところが自走砲には冷蔵庫がないですよ、補給部隊だって移動式冷蔵庫なんて持ってない。そこで炊事班が前線までやって来るんです、かれらは戦闘員だけど銃なんか持たずに調理用のスコップが武器じゃないですか、巨大な鍋釜だって運ばなきゃなりません。しかも全員が最前線に行くわけじゃないので普段の部隊にも給食を作るメンバーを残してきているのです
給食当番も普段の部隊勤務なら3交代制ですが前線の後方支援となると交代が来るまでは24時間勤務じゃないですか。作れるものだって献立通りには行かないし、なによりも今回の48時間という準備時間ですっかり準備しなきゃならないし、その食材だって、普段は部隊に出入りしている”業者”さんが冷蔵庫まで納品してくれるのに、前線だと自分で運ばなきゃならないんです。 やってみますか?
普段は駐屯地で電気ガス使い放題で料理しているのがいきなり野外炊飯じゃないですか。それも”年間訓練計画”の中にある”野外炊飯訓練”じゃなくて、実戦になるかもしれない前線での野外炊飯ですよね、前線って言ったって敵の弾が狙って降ってくる場所じゃないかもしれませんが、前線に展開している部隊に給食を届けなきゃならないのが大変だっていうハナシです。
※簡単調理のお手軽メニューなんていうのはこういう時には食べませんよ
自走砲が並んでいるあたりは敵陣に近いわけです、その後方に指揮する部隊がやってきます。これがまた今時の軍隊では徒歩でやってくる兵隊なんていないからクルマがずらりと並べられる場所が必要になるのです。普段では司令部勤務の偉い人たちはもっとずっと後方にいるのであんまり関係ないけど昨日あたりは屋外テント泊ですよ。
背中は痛いし夜は眠れないし、兵隊は1時間ごとに歩哨があるし、なにしろ真っ暗な山の中だし砲弾がいつ飛んでくるかわかんないのも怖いですね。迷子になったら大変でしょ、しかも足元には味方の埋めた地雷がたくさん埋まってるっと、もちろん近所にはコンビニはおろか街灯さえありません、道路は舗装されていないしガードレールもない、携帯電話は圏外だから南北交渉がはじまるっていうのも無線でやりとりするんです。 ※このへんのひとには戦争なんてあんまり関係ない?
そうそう、給食運搬車が最前線まで給食を運ぶなんていうのはありません、演習のときだけですよ、そもそも給食運搬車っていうのは給食部隊には属していないし
もひとつ、実戦に即した部隊移動がある時にかかる費用は、すべて各部隊の負担になります。
今回のK55自走砲を出した部隊は、付属する指揮系統の中隊の拠点の設営から給食の心配にテントやトイレ設置までのすべての費用を年間予算の中から捻出しなければなりません。
軍隊だからといって無尽蔵にどこからかお金が湧き出てくるわけじゃないので移動給食にかかる費用は予備予算から出すことになります。
これには普段の訓練ではない”追加燃料費”や交換部品消耗費などが出てきます、部隊を動かすだけでもかなり多くのスタッフが必要なんです。(まるでコンサートツアー)
しかも、戦線配備が完了して通常の勤務体制になると、それまでにかかった費用を精算することになります。
このへんはお役所仕事というよりも、”キャンプ体験ツアー”の予算責任者、あるいは中小企業の経理担当者みたいなことをやるわけです。そのためだけの経理兵というのがいるくらいですからね。 このへんで使途不明金や無駄遣いが発覚すると上級指揮官の昇進にも影響がでてくるのでたいへんですよ。
※経理兵も銃は持たないよね
今回のさわぎは一応おさまりそうですが、部隊の展開の後始末では頭が痛いですね
よし、これで中国伝承節(笑)に参加できるねっ!