弱者保護? 韓国では家賃を払わないほうの手を挙げる
家賃納めないで不法占拠状態の無収入賃借人 切れた大家さん強行封鎖を図る。
金が無いから払えん、賃貸者が中にいるのに玄関に釘を刺して大家さん捕まる
最近の更新日 2016年9月27日
[ソウルミーナ]家賃を適時に出さないという理由に、大家さんが玄関に釘を刺し、借家人が家に閉じ込められることがありました。
しかしクギを刺した家主は結局、権利行使妨害の容疑で警察に立件されました。
▲泥棒野郎、金を払え、などの罵詈雑言が並んでいる
ソウル永登浦(ヨンドゥンポ)にある多世帯住宅。
玄関に釘を刺した跡が残っています。
この24日、家主のキム某さんはここに住んでいる賃借者ユ某氏が家賃を払わないという理由で玄関のドアに釘を刺しました。
釘を打つ音に気付かなかったユ氏は結局、部屋に閉じ込められ、警察を呼び、ようやく家から出ることができました。
<ユ某氏/賃借人>"家主が玄関のドアを閉めてこういうのは私から見るなら'家主の横暴ではないか'このように気がするし、あきれるばかりです"
家主はもどかしい気持ちに門を閉ざしたと言います。
<朴某氏/家主>"賃借人が一年が過ぎてもみても家賃を二回しか払わないでずっと家賃が滞っているから保証金は残ってはいるが、その時になって全部なくなってからでは容易に追い出すこともできず、…"
しかし、家主は権利行使妨害の容疑で警察の取調べを受けています。
賃借人が占有をしている限り、所有権のほかに、家に対するすべての権利は、テナントにあるためです。
<ユン・ナムグン/、高麗(コリョ)大法学専門大学院教授>"いかなる場合にも自ら腕力で賃借人を退去させたり、その家に釘をさしたり、ドアをロックすることは刑法上処罰を受けます。"
賃借人が賃料を持続的に納めない場合でも家主は訴訟や支払い命令などの方法だけで問題を解決しなければなりません。
家賃収入に目がくらみ、うっかり無収入者に部屋を貸すとこのようにとんでもないことになります、居座り賃借人を防ぐためには十分な保証金を受ける必要があるようです。
(翻訳:みそっち)
韓国の傳貰(チョンセ)っていうのはお金を預けて毎月の家賃無しで暮らせるシステムなんですが、そのお金のやりとりは公的なものではないので家主が破産したりしてもお金が戻ってくる順位は保証されていません。
お金を預けて住んでいたのに大家さんが破産して建物が競売になったりした時のお金は保証しないけど賃借人保護のために居住権は保護するというのが韓国流です。
大家さんが破産して、住まいが競売になってもそこに住んでいるひとはそこに住み続けます、競売で手にいれたひとはが賃借人を立ち退かせて建て替えたいとかいうことができません。これがソウルのスラム化の原因のひとつでもあります。
これは韓国の墓事情とも似ていて、墓のほうは”20年間不法でも占拠してあれば60年間の使用する権利を認める”というものがあります。不法占拠に優しい国なんですね。
不法占拠があるなら”夜逃げ”だって多いんです。これが商店などの場合だと壮年創業したチキン屋などが家賃に窮してつぶれるのはよくありますが、これは家賃払いという方法で毎月の支払いを強要して逃亡を未然に防いでいるとも言えそうです。
大抵の場合潰れたチキン屋などは夜逃げ同然で退出するので残された什器などは債権者ではなく鍵を持っている大家さんの収入になったりもします。※中古厨房機器などの商売は割と盛んですよ。
韓国のズラリと建ち並ぶ15階建てのアパートってなんだかリッチな気がしちゃうかもしれませんが、自費で買ってローンを払っているひとのほかに、建設会社が満室完売のために社員に押し付けた物件があったり、誰かが買って賃貸にしている部屋があったり、それを又貸ししたのがあったりしているのです。ローンが払えなくなって夜逃げした空き部屋を買った人いるし、競売物件のままそこに住み続けているのもいたりします。
すると居住者の中でも身分の差みたいのが生じますね、そのため居住者組合みたいなものは結成されずに一定の管理費を払って管理人を置いて建物を管理するという方式が好まれます。
これが低層階のオフィステル(本当は住んじゃいけない貸しオフィス名目の貸し部屋)なんかになると、部屋をさらに細分化させて5.5㎡部屋のような様式美へと進化します。そうして権利関係が入り組んでくるとそこはもうソウルならではのカオスな状況となるわけです。
ちなみに韓国ソウルの失業者は公式発表で6%台ですが体感的には40%近いと感じている人が多いんです。そういう人たちがソウル駅の地下道ばかりではなく屋根のある住まいに住んでいるという理由には考えさせられることがありますね。